シトロエン待望の電気自動車は、ガジェットとして秀逸。
ながらくギズモードの編集長を務めている尾田和実(おだかずみ)が所有する愛車は、フランスの自動車メーカー・シトロエンのコンパクトなハッチバック「C3」。誰よりもマニアックなガジェットを買い漁り、モノ選びには人一倍ウルサイ、屈指のプロダクト好きである尾田はなぜシトロエンを選ぶのか。
そこにはガジェット/テクノロジー好きならではの独特な考え方があった。
「ガジェットを扱うメディアの編集長をやっているから、やっぱり車もガジェット的な楽しさがある車を相棒にしたいと思ったんですよね。C3は電気自動車ではないし、テクノロジーの粋を集めた車でもない。むしろ、オーセンティックな自動車づくりの流れを汲んだ、いかにも車好きが好むようなシトロエンらしい個性が詰まった車です」
てっきり、スマートフォンやミラーレス一眼カメラのようなデジタルガジェットとシトロエンC3の共通点、のような話が始まるかと思いきや。
意外にも尾田が語るのは、自動車づくりの文脈で評価されるC3のストーリー。尾田は言葉を続ける。
「それでも、いわゆる“良い車”であるC3に、僕は“ほとばしるガジェット感”を見出しているんです。全体のフォルムや内装ひとつひとつのパーツすべて、シトロエンには遊び心がある。
ガジェットはテクノロジーによって左右される部分も大きいですが、そもそもモノとしての楽しさとか、ついつい愛でたくなってしまうたたずまい。つまり持っていることの充足感が大事。そして、スペックだけでは語りつくせないファッションや建築、音楽からくる多様なカルチャーの文脈こそが、僕のなかではガジェットと呼べるものなんです」
確かに、C3にはミッドセンチュリーの家具にも通じる独特の曲線を持つフォルムや、フランス車独特のエスプリあふれるディテールといった、尾田が言うところの「フランス産のプロダクツが持つ楽しさの粋」といったものがあるように思える。
「だから、僕がシトロエンを手に入れた時の気分は、車を買った、ではなく、気に入ったガジェットをゲットしたぞ、だったんです。買ってから時間が経った今でも、1.2Lのガソリンターボ・エンジンはスポーツカーかと錯覚するほど軽快に走るし、乗るたびに新しい発見がある。それで今回、最新の電気自動車「Ë-C4 ELECTRIC」に乗ることになって。実は、ずっとシトロエンで電気自動車があれば最高だろうなと思っていたものの、いざË-C4に乗ってみると、なぜか必死であら探ししている自分に気づいたんですよ。C3でかなり満足していたので、それ以上の車に出会ってしまったら困ると思ったからなんでしょうね」
スマートフォンと違って、車はそうそう買い換えるわけにもいかないので、尾田の複雑な気持ちはなんとなく理解できる。しかし、そのあら探しの結果はどうだったか?
「美術館や海を巡る1日ドライブをしてみて、正直良いところしか感じなかった(苦笑)。特にシトロエン独特のふわっとした乗り心地をもたらすサスペンションはずっと評価されてきた自動車界の金字塔で、厳しくチェックしようと思っていたんですが、Ë-C4はこれまでにない高級絨毯の上を走っているような格別な乗り心地で、これにはかなり驚きました。
そのうえで電気自動車ならではのメリットとして、最高出力100kW(136ps)、最大トルク260Nmの高水準なモーターはとにかくパワフルで発進はスムース、スポーツモードに切り替えると高速道路での追い越しも苦もなくこなします。エンジンがないから細かな振動もないしひたすら静か。クルマを運転しながら家族と喋ったりするほうなんですが、声をはりあげたりする必要もなく、会話にストレスがないのも自分にとってポイントが高いですね。本当に良いところだらけで欠点がないんですよ」
「魔法の絨毯」と称される、快適な乗り心地を生むシトロエン独自のサスペンション。その最新形のプログレッシブ・ハイドローリック・クッションがもたらす、しなやかで滑らかな乗り心地をはじめとする、Ë-C4の電気自動車としての完成度の高さにすっかり魅了されてしまった模様。
それでも、所有するC3への愛着が薄れたわけでなさそうだ。
「どちらが勝っているではなく、Ë-C4の居心地の良さは「コンパクトでキビキビ動くC3」とは根本的に違うことがわかりました。それに“シトロエンの内装デザインは10年先を行ってる”が持論なんですが、Ë-C4はこれまでのシトロエンとは趣を異にした新鮮さがありました。空港のビジネスラウンジのような、しっとりとした上質さなんです。
全体的にシックで正攻法なつくり。だけど、ドア内側のハンドルにさらっと異素材をあしらっているあたり、シトロエンっぽいアクセントも効かせている。まさに我々が普段あまり使わない、フランスのエスプリって言葉そのものの感覚があるんですよね」
C3とは別物で、なおかつ電気自動車かどうかに関わらないインテリアデザインの上質さを尾田は絶賛。
さらに、ガジェットメディアの編集長の性。より細かなディテールを見ていくと、尾田の顔はよりいっそうほころぶ。
「まず目の前の透過型のヘッドアップディプレイ。ポップアップ式だし、未来感があるコクピットが歴史あるシトロエンで実現したのがうれしかった。多彩なドライブアシストはかなり見やすく整理されていて、久々に自動車に乗るひとにも安心感がありそうだなと感じました。デジタルメーターの部分は、インフォグラフィックを使って直感的に始動の手順などが表示されます。これはハンドルを握ってすぐに入っていけるわかりやすさがありますね。前から感じているんですが、最近のシトロエンって本当に運転しやすいんですよ」
「もうひとつ目についたのはシフトセレクター。僕はここがとてもガジェット感があって好きでした。最近、個人的にDJにハマっているんですが、パイオニアのDJミキサーにこれと似たスタイルのスイッチがあって、使いやすいと評判なんです。なんかDJブースに入ったみたいな気持ちになれて、車でこれはすごくいいですね!」
「USB端子がセンターコンソールにあるのも良いですね。USB-AだけでなくUSB-Cもしっかり用意されていて、ここらへんはウチの編集部の綱藤さん(USB-Cが大好き)も納得なんじゃないかな。タブレットを立てておけるスタンドも助手席に備えられていて、助手席でオンライン・ミーティングもできそうです」
ガジェットを使いこなすためのベースステーションになれそうですね、と尾田は興奮気味に語る。持ち歩いているゲーミングPCを設置して『FORTNITE』やフライト・シュミレーターをやろうかな……と尾田の想像は果てしなく膨らむ。
「最近、モバイルのDJコンソールを買ったんで、クルマに置いておけばどこでもDJができるんですよね。家でDJをしてオンラインで流すのも楽しいですけど、森や海でDJパーティーをやってそれをオンラインで流したらさらに楽しそうだなと思いました。ギズモードの動画チャンネルでライブ中継したいな。このクルマだったらそんな楽しみ方を叶えてくれそう」
クーペライクなスマートなフォルムながら、 大容量バッテリーをフロア下に搭載しているとは思えない、たっぷりとしたラゲッジルームの広さを持ち、さまざまなギアを積み込んでアクティビティも楽しめる。
スマートフォンよりもだいぶ大きいけれど、電気で走り、軽快に動作して、自らの手で愛でるように操作できるË-C4は「ガジェット愛にあふれた最新の電気自動車」だと尾田はいう。
そこにひとつあることで、どんな使い方ができるのか想像が膨らむ。Ë-C4はガジェットらしい心躍らせる楽しさがあるクルマだった。
New Ë-C4 ELECTRIC
力強いフォルムと洗練されたクーペライクなルーフラインが醸し出すスマートな電気自動車。高効率電動モーターと50kWの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載。位置充電走行距離は459km(JC08モード)。エコモード、ノーマルモード、スポーツモードの3つのドライブモードを選択可能。急速充電器を使えば、約50分で約80%まで充電できる。
▼尾田が編集長を兼任するメディア「ROOMIE」では、尾田自身の愛車「C3」について語っています。
Source: シトロエン
Photo: 関竜太